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下肢浮腫

下肢浮腫とはいわゆる脚のむくみです。両方もしくは片方の下肢が腫れることを指します。血液中の体液が血管の外に漏れ出て、血管の外の皮下組織に溜まった状態のことをいいます。 

脚は血液が最も溜まりやすい部位です。  

通常、脚の筋肉や静脈の逆流防止弁の作用により、脚で使われた血液は心臓に戻りますが、運動をしなかったり、脚の筋肉を使わなかったり、デスクワークや立ち仕事などの同じ姿勢を長時間続けると、脚の血液は心臓に戻ることができずに、脚に溜まっていきます。この脚に溜まった血液中の水分が血管から外にでることにより、むくみが生じます。また、過度の飲酒が原因で血管が拡張することで、血管外へ水分が漏れ出し、むくみが生じることもあります。しかし脚がむくんだ場合、中には病的な要素が隠れているかもしれません。病的な要素の原因としては、以下のことが考えられます。

 

・静脈血栓塞栓症

 

静脈血栓塞栓症とは長期臥床や術後、カテーテル留置や脱水などにより脚の太い静脈(深部静脈)という血管に血の塊(血栓)ができて、これが流れて心臓に到達し肺への血液の流れを閉塞(肺血栓塞栓症)してしまう疾患です。検査の項目でも述べていますが命にかかわることもあり下肢血管エコー検査が必要です。

 

・リンパ浮腫

 

リンパ管の環流障害により組織の液体が組織に貯まった状態を言います。多くは片側の脚で夕方にだるさが増強しますが、痛みは伴いません。原因には乳がんや子宮がんの術後や放射線照射があります。悪性腫瘍が原因であることもあり、検査が必要です。

 

・心不全

 

心臓の役割は、全身に血液を送り出すポンプです。

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下してしまった状態です。ポンプ機能が低下すると、全身で使われた血液が心臓に戻りづらくなり、戻りづらくなった血液中の水分が血管の外へ滲み出してしまい、むくみが生じます。心不全が原因によるむくみは、息切れや呼吸困難、動悸などを伴い早急な検査と治療が必要です。

 

・腎不全

 

腎臓は体に不要になった水分や老廃物などを体の外に排出し、タンパク質などの体に必要な物質を体内に維持するなど、身体の水分量や様々なミネラルの濃度を調整する役割があります。腎不全は腎臓の機能が低下している状態のことで、不要な水分を体外に出せなくなったり、体に必要なタンパク質が少なくなったりすることが原因で、体内の水分量が多くなり、むくみが生じます。

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