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高脂血症(脂質異常症)と糖尿病

●高脂血症(脂質異常症)とは

血中脂質のうち、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)の数値が基準値を上回る場合、もしくはHDL(善玉)コレステロールの数値が基準とされる数値を下回る場合は脂質異常症と診断されます。かつてこの疾患は、LDLコレステロールと中性脂肪の数値のみが基準となっていたため、高脂血症と呼ばれていました。その後、LDLコレステロールが基準数値に満たない場合も含まれるようになってから脂質異常症と呼ばれるようになりました。具体的な診断基準は下記の通りです。診断は血液検査によって行います。主に3つのタイプに分類することができます。

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上記3つのどのタイプであっても血管に悪玉コレステロールが蓄積しやすくなっています。この状態が動脈硬化を進行させ、さらに血流が悪化し(血管狭窄)、血管が詰まるなどすると、脳血管障害(脳梗塞等)や虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)といった重篤な合併症を発症する危険があります。

脂質異常症も、糖尿病や高血圧と同じで自覚症状が現れにくい疾患です。そのため病状が進行するまで気づきにくく、多くの場合は健康診断などの際に判明します。ただ、それでも放置されてしまう方は多く、合併症を患ってしまうケースも少なくありません。最悪な事態を避けるためにも、検査結果で異常を指摘された段階で、一度当クリニックをご受診ください。

なお、発症の原因は大きく分けて2つあるとされています。一つ目は原発性脂質異常症と呼ばれるものです。これは主に遺伝によるタイプで、家族性高コレステロール血症などが含まれます。二つ目は二次性脂質異常症です。この場合、何かしらの病気(甲状腺疾患、糖尿病、肝臓病等)や薬剤(ステロイド薬等)、肥満、アルコールなどが要因で発症するようになります。

 

●治療について

治療の主眼は、LDLコレステロールを下げることです。そのために、まず生活習慣の見直しから取り組んでいきます。この中で最も重要となるのが食事療法です。

具体的には、コレステロールを多く含む食材、例として卵黄、レバー、魚卵、乳製品などの食品は控えていくことが大切です。さらに高LDLコレステロール血症の方については、食物繊維が豊富な野菜、海藻類、きのこなどを摂取するようにします。またタンパク質をとる場合は、肉は避けて魚や大豆製品、鶏のささみなどがよいでしょう。また、高トリグリセライド血症の方は、糖分を多く含む食品(お菓子、ジュース 等)やお酒は控えるようにしてください。

このほか運動は、中性脂肪の数値の低下、HDL(善玉)コレステロール増加という効果が期待できます。運動内容としては、1日30分程度の軽度な有酸素運動(軽いウォーキングやジョギング、サイクリング、水中ウォーキング 等)ですが、実際に効果が出るまでは数ヵ月程度必要とされています。なかなか効果を感じることができなくても継続的に行うことが大切です。なお、生活習慣を改善するだけでは、LDLコレステロールの数値を下げることができない場合は、薬物療法も併せて行います。この薬物療法は、肝臓でのコレステロール合成を抑制し、結果的に血液中の悪玉コレステロールを下げる、主にスタチン系という内服薬等を服用していただきます。

 

●糖尿病とは

血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれてエネルギー源となる際にはインスリン(膵臓で作られるホルモンの一種)の分泌が不可欠とされています。この分泌が何らかの原因によって減少して、ブドウ糖が細胞に取り込まれることなく、慢性的に血糖値(血液中に含まれるブドウ糖の濃度)が基準値を超えている状態となってしまうと糖尿病と診断されます。

糖尿病の診断をするために行われるのは、主に採血による検査です。診断基準については下記の通りです。

 

①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、または75gOGTTの2時間値が200mg/dL以上、もしくは随時血糖値が200mg/dL以上

②HbA1c値が6.5%以上

①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、または75gOGTTの2時間値が200mg/dL以上、もしくは随時血糖値が200mg/dL以上

②HbA1c値が6.5%以上

 

●合併症に注意

このようにインスリンが正常に分泌されないか、分泌されていてもインスリンが細胞レベルであまり働かず、血糖値が慢性的に上昇してしまっている状態が糖尿病です。発症初期の段階では自覚症状が現れにくいとされており、その後、病状が進行すると、頻尿・多尿、異常な喉の渇き、全身の倦怠感、体重減少などの症状がみられるようになります。さらに放置が続いてしまうと、次第に血管障害が生じてきます。なかでも細小血管はダメージを受けやすく、これらの血管が集中している、網膜、腎臓、末梢神経は合併症を起こしやすいことから、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は糖尿病三大合併症と呼ばれています。

また糖尿病の発症によって、動脈などの太い血管では動脈硬化が進むので、脳血管障害(脳梗塞 等)、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)などの合併症の危険性が高まります。

 

●糖尿病の種類と原因

なお糖尿病には大きく2つのタイプが存在します。一つ目は1型糖尿病と呼ばれるものです。これは、インスリンを生成する膵臓のβ細胞が、自己免疫反応によって破壊されてしまっている状態です。この場合、インスリンがほとんど分泌されないため、体外からインスリンを補充しなくてはなりません。二つ目は、日本の全糖尿病患者さんの9割以上を占める2型糖尿病です。このケースでは、糖尿病になりやすい体質の方、または日頃から不摂生な生活習慣(過食、運動不足、肥満等)をしている方が発症しやすくなります。ちなみに2型の患者さんの膵臓は疲弊しているので、わずかにインスリンが分泌されているか、もしくは分泌量は充分であっても効きが悪くなっています(インスリン抵抗性)。

上記以外にも何らかの病気(内分泌疾患、肝疾患、膵疾患等)や薬剤の使用が原因で発症する二次性糖尿病、妊娠中に分泌されるホルモンによってインスリンが効きにくくなって高血糖状態になってしまう、妊娠糖尿病というものもあります。

 1型糖尿病の患者さんは、インスリンが体内で欠乏している状態なので、インスリンを注射で体内へと注入します(インスリン療法)。

また2型糖尿病の患者さんは、生活習慣の見直し(食事療法、運動療法)から始めます。食事療法では、インスリンが過剰に分泌されないよう食べ過ぎを控え、適正エネルギーの摂取に努めます。適正エネルギーの摂取量の算出方法については次の通りです。

適正エネルギー摂取量=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

標準体重=身長(m) ×身長(m) ×22

身体活動量:

軽労働(デスクワーク中心)  25~30

立ち仕事等の労働       30~35

力仕事等の重労働       35以上

適正エネルギー摂取量=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

標準体重=身長(m) ×身長(m) ×22

身体活動量:

軽労働(デスクワーク中心)  25~30

立ち仕事等の労働       30~35

力仕事等の重労働       35以上

 

上記以外にも、朝・昼・晩と三食を規則正しくとる、食品交換表の活用による栄養バランスのとれたメニューにするなど工夫をしていきます。

さらに運動は、インスリンの働きを改善させる効果を期待できます。運動内容は、やや息が上がる程度の1日30分ほどの有酸素運動(軽度なジョギング、スイミング 等)が理想です。

なお生活習慣の見直しだけでは、血糖値のコントロールが困難であると医師が判断した場合は、併行して薬物療法を行います。この場合、血糖値を下げる経口血糖降下薬が使用されます。それでも効果が十分みられない場合はインスリン注射となります。

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